DV(家庭内暴力)

DV(家庭内暴力)被害から抜け出すために!
原因や対策方法を紹介

DVとは「親密な関係にあるパートナーからの暴力」のこと。ここでいう「暴力」の形はさまざまで、殴る・蹴るなどの身体的暴力に限りません。確かに、家庭内暴力は相談しにくく深刻なものです。そのため、1人で悩んでいるDV被害者もたくさんいるでしょう。この記事では、DVの種類や原因・対策などを解説します。

どうすればDVの苦しみから抜け出すことができるのか、ぜひこの記事を参考にして考えてみてください。

01. DVとは?

DVの定義や種類は非常に幅広く、自分がDV被害者であるという意識がない人も多いでしょう。まずは、DVの定義や種類や全国にどのくらい被害者がいるのかを解説します。

1-1.DVに明確な定義はない?

DVは「ドメスティック・バイオレンス」の略です。一般的には「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」という意味で使われていますが、実は明確な定義は決まっていません。人によっては、親子間の暴力も含んだ意味で使用することもあります。

1-2.DVは5種類ある!

DVは大きく分けて5つの種類に分類されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1-2-1.殴る・蹴るなどの「身体的暴力」

1つ目は「身体的暴力」です。殴る・蹴る・つねる・物を投げる・熱湯をかける・首を絞めるなど、加害者が被害者から一方的に行う暴力のことを言います。

1-2-2.怒鳴る・無視するなどの「精神的暴力」

大声で怒鳴る・無視する・電話やメールを無断でチェックする・命令口調でののしる・嫌がることを言って脅すなどの「精神的暴力」です。被害者にストレスがかかるようなことを繰り返し、精神的に追い込みます。

1-2-3.性交渉の強要など「性的暴力」

「性的暴力」は、性交渉を強要する・避妊をしない・中絶を強要する・異常に嫉妬心を抱くなど、性的に心身ともに受ける暴力のことです。

1-2-4.生活費を渡さないなどの「経済的暴力」

生活費を渡さない・大きな買い物の決定権を渡さない・酒やギャンブルに生活費をつぎ込む・仕事を制限するなど、経済的に自由を許さない暴力のことを「経済的暴力」と呼びます。

1-2-5.被害者を社会から隔離しようとする「社会的隔離」

携帯電話やパソコンの所有を拒否する・外出先や電話の相手を細かくチェックする・交友関係を細かく管理する・親兄弟から隔離したがるなど、被害者を社会から隔離しようとするのが「社会的隔離」です。この場合、相手がそのような行為に至るのは愛情の現れであり「自分が悪いせいだ」と思い込んでしまう被害者が多いでしょう。

1-3.DV件数は過去最多

現在、警視庁へのDVにかんする相談件数は過去最多を記録しています。そのうち、暴行や傷害容疑による摘発件数は87%を占めているのです。被害者の性別は、その9割が女性。年代別で見ると、婚姻率が高まる30代以降での被害が圧倒的に多くなっています。

02. DVチェックリスト

「具体的にどのようなことがDVなのか分からない」という人は多いでしょう。自分がDVの被害者または加害者になってしまっていないか、チェックするためのリストをご紹介します。ぜひ試してみてください。1つでもチェックのついた人は、DV被害者・加害者である可能性があります。

2-1.被害者のチェックリスト

  • 彼(彼女)の注文に少しでも疑問を示すと、すぐに不機嫌になる。
  • うまくいかないことがあると、すぐに自分のせいにされる。
  • 1人で外出すると、何度も携帯に電話をしてくる。
  • 友人や両親と交際するのを嫌がる。
  • 帰宅が遅くなると怒られる。
  • 自分に向かって「バカ」や「能無し」という言葉を口にされる。
  • 彼(彼女)に怒られるのが嫌で、言うことを聞いてしまう。
  • 人前でも平気で自分の欠点を指摘される。
  • 彼(彼女)と会話がしたくても、非難されたり無視されたりする。
  • 自分のちょっとした仕草にもうるさく文句を言われる。
  • 彼(彼女)がいなくなると、なぜかホッとする。
  • 急に癇癪を起こして壁を殴ったり物を投げたりする。
  • 暴力を振るった後は、急に優しくなり謝ってくる。
  • 怒らせないために、あきらめたことがたくさんある。
  • 自分の気分などおかまいなしに性交渉を求めてくる。

2-2.加害者のチェックリスト

  • 彼女(彼氏)に向かって大声をあげたことがある。
  • 彼女(彼氏)には自分だけを見ていてほしいと思う。
  • 彼女(彼氏)が話しかけても返事をしないことがある。
  • 彼女(彼氏)に「バカにされた」と思ったことがある。
  • 黙って彼女(彼氏)をにらんだことがある。
  • 彼女(彼氏)の携帯をこっそりチェックしたことがある。
  • 彼女(彼氏)に手を上げたことがある。
  • 彼女(彼氏)に何か言い返されると腹が立つ。
  • 彼女(彼氏)をののしったことがある。
  • 彼女(彼氏)が口うるさいと思ったことがある。
  • いつも彼女(彼氏)と一緒でないとイライラする。
  • 彼女(彼氏)に反発されるととても傷つく。

03. DVをする人にはこんな特徴がある!

DVをする男性には、ある程度共通する特徴があります。あなたのパートナーに当てはまるものがないか確認してみましょう。

3-1.気が弱い

意外なことに、DV加害者には気が弱い人が多いのです。誰にでも自分の思っていることを言えるような人は、DV加害者になりません。普段は気が弱く、他人にはっきりとした態度をとることができない人こそ、自分より弱い立場の女性に暴力を振るってしまうのです。他人に対して強く意思表示ができないことにストレスを感じ、その反動を妻や恋人に「暴力」という形でぶつけてしまうのでしょう。

3-2.感情の起伏が激しい

DVをする男性は、ささいなことでかっとなりつい手が出てしまいます。その反面、暴力を振るった後は急に優しくなったり、反省したりするでしょう。つまり、感情の起伏が非常に激しいという特徴があります。精神が不安定と言ってもよいでしょう。自分の感情をうまくコントロールすることができません。そのため、気を許している人の前では、怒りをそのままぶちまけてしまうのです。

3-3.束縛が激しい

DV男性の特徴として「束縛が激しい」というものもあります。「今彼女がどこで何をしているのか常に知っていたい」「いつでも連絡が取れて確認できなければ気が済まない」「女性のすべてを自分の支配下に置いておきたい」と思っているのです。

04. DVの原因になるものは?

DV加害者はなぜ暴力を振るうのでしょうか? その原因として比較的多いものをご紹介します。

4-1.アルコールなどの物質依存

アルコールや薬物などを摂取することで攻撃になってしまうケースは非常に多くなっています。その中でも多いのがアルコールでしょう。アルコールを摂取することで自制心が効かなくなり、暴力に走ってしまうのです。そのほかにも、麻薬や覚せい剤を使用しているケースもあります。

4-2.ストレス発散

仕事や人間関係で生まれたストレスをうまく発散できず、ためこんだ結果、DVをする男性も少なくありません。自分より力の弱い女性に暴力を振るうことで、ストレスを発散しているのです。

4-3.良識の欠如

DV加害者の中には「自分はしてはいけないことをしている」と考えていない人もいます。暴力を振るって相手を傷つけることに対して「悪いこと」だと思っていないのです。特に、幼少期に虐待や家庭内暴力の既往がある場合は、自分自身も暴力を振るうようになることが多いでしょう。また、このような明らかな要因がなかったとしても、もともとの性格や考え方として、暴力を振るうことをそこまで問題だと捉えていない人もいます。

4-4.精神疾患の可能性も

DVの原因が精神疾患であるケースも考えられます。たとえば、統合失調症などでは、幻聴に影響されて攻撃的になることがあるでしょう。自閉症スペクトラム障害で、他者とのコミュニケーションがうまくとれず、その葛藤から暴力的になるケースもあります。

05. DV対策を種類別に紹介

では、DV被害者ができる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。DVの種類別にご紹介します。

5-1.身体的暴力の慢性化を防ぐために…

どんな理由があっても、暴力は許されるものではありません。夫や恋人から暴力を受けている人の中には「自分さえ我慢すれば済む」と思っている人も多いでしょう。しかし、この考え方は危険です。そういった対処法を続けていても、いつかは限界が来るでしょう。暴力は、放っておけば次第にエスカレートしていきます。いくらでも我慢できるものではないのです。

自分のためだけでなく相手のためにも、暴力の慢性化を防ぐ必要があります。たとえば、「次に暴力を振るったら一緒に病院に行く」「DV相談窓口に行く」というような約束をしてください。もし、再び暴力を振るった場合は、この約束を必ず実行しましょう。

5-2.精神的暴力には「役に立たない妻」を演じる

怒鳴る、無視するなど精神的暴力を受けている場合は「夫にとって役に立たない妻を演じる」という対処法があります。

  • 家事は自分ができる範囲しかしない。
  • 具合が悪ければ寝る。
  • 要求があったら夫に具体的に伝える。
  • ほかの友達との交流を深める。

重要なのは「夫がすべて」の生活をやめることです。DVの程度が軽い場合は、妻がそうすることでおさまる場合もあります。

5-3.性的暴力には「はっきりと拒む」ことも大切

性交渉を無理やり強要することは、夫婦間であっても強姦罪が成立すると言われています。このように、法律上は「夫婦であっても性的自由は確保されるべき」と考えられているのです。

性的DV夫の中には「避妊せずに性交渉をし、子供ができたら中絶を強いる」というケースも多いでしょう。そのようなことになる前に、本当に必要であれば、絶対に避妊をしなければなりません。まずは「避妊をしてくれないなら性交渉はしない」とはっきりと告げ、避妊なしでの性交渉は拒むようにしてください。

5-4.経済的暴力には「離婚」という選択肢を

経済的DVの場合、身体への暴力はありません。しかし、今のままの生活を送っていると、確実に精神的ダメージを受けることになるでしょう。若く、体力があって働ける人であれば、今すぐにでも離婚を決意し、悪い環境を断ち切る勇気を持つことも必要です。経済的DVをする夫は、この先も家庭に収入を入れることはないでしょう。そして、今後DVがエスカレートする可能性も高いのです。外出することも禁止され、今まで以上にひどい生活を送ることが予想されます。

5-5.社会的隔離には「DVである」という認識を

社会的隔離は加害者側に「DVである」という認識がないケースが非常に多くなっています。相手を束縛するのは愛情ゆえのことであり、悪いことをしているとは思っていません。そのため、まずはその行為が「DVである」ということを認めてもらうことが大切です。自覚することでDVが収まるケースも少なくありません。

06. DVの相談を受け付けている機関・支援情報の紹介

DVの相談を受け付けている機関や支援情報をご紹介します。

配偶者暴力相談支援センター

http://www.gender.go.jp/e-vaw/soudankikan/01.html

配偶者からの暴力の防止および被害者の保護を目的とし、カウンセリングや被害者の一時保護、自立して生活するための援助などを行っています。

婦人相談所

http://www.gender.go.jp/e-vaw/soudankikan/02.html

各都道府県に1つ設置されています。もともとは売春を行う恐れのある女子の相談・指導・一時保護を行う施設でした。面接相談や巡回相談が可能な場合もあります。

女性センター

http://www.gender.go.jp/e-vaw/soudankikan/06.html

都道府県、市町村が自主的に設置している女性のための総合施設です。配偶者からの暴力専門の相談窓口を設置している施設もあります。

07. DV関連書籍紹介

DVにかんする書籍をご紹介します。

DV(ドメスティック・バイオレンス)-殴らずにはいられない男たち

http://www.amazon.co.jp/DV…殴らずにはいられない男たち-光文社新書…/4334031102

加害者・被害者双方の声をもとに、DV問題の本質をあぶり出した初めての本となっています。

ドメスティック・バイオレンス-愛が暴力に変わるとき

http://www.amazon.co.jp/ドメスティック・バイオレンス―愛が暴力に変わるとき…/40940821…

暴力や暴言を繰り返す「する側」の心理と「される側」の心理を分析しながら、具体的な解決方法を探った1冊。DVの環境下で育った子供に与える影響についても警告されています。

DV・虐待加害者の実態を知る

http://www.amazon.co.jp/DV・虐待加害者の実体を知る-ランディ…/dp/4750328901

DV・虐待はなぜ繰り返されるのか。虐待を重ねるDV加害者の心理を暴き、その行動・手口を読み解きます。被害者にならないためにはどうすべきか、具体策を提供!DV

08. DV体験ブログの紹介

DV体験ブログをご紹介します。ぜひ参考にご覧ください。

DV夫から逃げた、家族の体験ブログ

http://ottcl.com/

DV夫から逃げ出して母子で暮らし始めた家族の体験ブログ。今も続くDV被害の恐怖体験がつづられています。

モラハラDV夫との離婚調停

http://morahara-dv.doorblog.jp/

モラハラDV夫から子供たちを連れて別居し、長い離婚調停を経てようやく離婚が成立した実話ブログです。

コテコテDV日記

http://kotekote-dvdiary.seesaa.net/

DV夫との離婚裁判をマンガにしたブログです。精神的DVの結婚生活やDV離婚裁判がわかりやすくつづられています。

09. よくある質問

DV被害に悩む人たちが感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。

Q.夫から激しい暴力を受けた場合は、警察に通報することもできますか?

A.暴力を受けた場合は傷害事件として警察に訴えることができます。しかし、単なる「夫婦ゲンカ」として扱われ、取り合ってもらえないケースもあるでしょう。また、警察に通報したことを相手に気づかれると、逆上する危険性もあります。警察に通報する際は、慎重に行うようにしてください。

Q.暴力を受けた場合、抵抗した方がよいのでしょうか?

A.暴力を受けたとき、抵抗したり毅然とした態度で立ち向かったりするのは危険です。思い通りにならないことに対して、相手はさらにストレスを感じるようになるでしょう。その結果、暴力が激しくなる恐れがあります。早めに専門家などに相談し、危険から身を守る方法を考えてください。

Q.別居中の夫から受けた暴力も、DV防止法の適用になりますか?

A.適用されます。一緒に住んでいない場合でも、配偶者から受ける暴力はDV防止法の対象になるのです。

Q.精神的暴力に対してもDV法は適用されますか?

A.精神的暴力はDV防止法に当てはまる可能性が高いでしょう。ただし、保護命令制度が「身体に対する暴力」「生命等に対する脅迫」を対象にしていることから、警察に通報したり支援を受けたりすることについては、規定の対象外となっています。

Q.保護命令申し立てに必要な費用はいくらくらいですか?

A.保護命令申し立てには、手数料として1,000円が必要になります。宣誓供述書を添える場合は11,000かかるため注意が必要です。このほかに、書類を相手方へ送るための郵便費用が2,500円ほどかかります。

まとめ

いかがでしたか? この記事では、DVの種類や原因・対処法などを解説しました。配偶者からのDVを受けている女性は全国にたくさんいるのです。そして、その多くが誰にも相談できずに1人で苦しんでいます。そういった被害者を1人でも減らすために「DVは犯罪である」という認識を被害者自身も持つべきでしょう。

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