「パートナーの不倫が原因で離婚したので、財産分与してもらう方法を知りたい」とお考えではありませんか? 不倫が原因で離婚するなら、しっかり財産分与してもらいたいですよね。しかし、どんな財産が対象になるのか、どんな流れで手続きすればよいのかなどよく分からないこともあるでしょう。
そこで今回は、不倫で離婚した場合の財産分与について詳しく解説します。
- 不倫で離婚すると財産分与に影響する?
- 離婚時に財産分与の対象となる財産は?
- 離婚時の財産分与の方法
- パートナーの不貞行為に対して慰謝料請求ができる
- 財産分与をするときの注意点
- 不倫で離婚した場合の財産分与に関するよくある質問
この記事を読むことで、不倫が原因で離婚した場合に財産分与をどうすべきかよく分かります。まずは、記事を読んでみてください。
1.不倫で離婚すると財産分与に影響する?
最初に、不倫で離婚すると財産分与にどんな影響があるか見ていきましょう。
1-1.不倫で離婚しても財産分与には影響しない
パートナーの不倫によって離婚した場合でも、財産分与には影響しません。離婚の理由と財産分与は無関係だからです。離婚したという事実だけで、財産分与を請求する権利が発生します。たとえば、不倫した側の夫が離婚を拒否していた場合で、離婚する代わりに財産分与の放棄を求めてきているケースでも、不倫された側の妻が応じる必要はありません。
1-2.自分が不倫した側の場合は要注意
自分が不倫した側である場合は、注意が必要です。不倫した側であっても、財産分与を受ける権利はあります。しかし、不倫が原因で離婚に至った場合は、状況が不利になるのは事実です。財産分与が希望どおりに進むことは、ほぼないでしょう。場合によっては、持ち家を明け渡して出ていくことを要求されることもあるので、注意してください。いずれにしても、財産分与の権利があるとはいえ、不倫した側が不利な立場であることに変わりはありません。
2.離婚時に財産分与の対象となる財産は?
離婚時にどんな財産が財産分与の対象となるか、具体的に見ていきましょう。
2-1.婚姻中に取得した財産が対象になる
離婚時に財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦2人が共同で築き上げた資産と判断されるものです。たとえば、以下のようなものがあります。
- 土地家屋
- 車
- 現金・預貯金
- 有価証券
- 退職金
- 年金
- 保険の掛け金
上記のほかにも、金銭価値の高いもので夫婦共有の財産と認められれば、財産分与を請求できることもあります。
2-2.婚姻中でも対象外になる財産もある
婚姻中の財産でも、以下のようなものは財産分与の対象外になります。
- 独身時代の貯金
- 独身時代に取得した貴金属類
上記のような財産は、夫婦2人が共同で築き上げたものではないからです。また、すでに離婚が決まっていて別居している場合は、別居中に築いた財産は基本的に対象外になります。
2-3.借金も財産分与の対象になることがある
借金も財産分与の対象になることがあるので、注意してください。たとえば、借金の理由が生活費用を工面するためなど、夫婦が共同で責任を負っている場合などです。ただし、借金があっても、そのほかの財産分与を進めた場合にプラスとなる場合は問題ありません。まずは、借金を含め、財産分与の対象となる財産をすべて把握・計算してみてください。
3.離婚時の財産分与の方法
離婚時の財産分与の方法を、詳しく解説します。
3-1.話し合いにて財産分与を協議する
まずは、双方の話し合いによって財産分与について協議しましょう。話し合いによって決めることができれば、一番スムーズです。ただし、感情的にならないように注意しましょう。不倫が原因で離婚した場合は、特に不倫された側が感情的になりがちです。財産分与の手続きをスムーズに進めるためにも、冷静な心を保つようにしてください。
3-2.財産分与請求調停を行う
残念ながら、話し合いによって財産分与の内容が決まらなかった場合は、財産分与請求調停を行って審判を受けましょう。財産分与請求調停は、家庭裁判所に申し立てることになります。申し立てを行うと、家庭裁判所から調停日の決定通知が届くので、出席してください。調停が成立すれば、実際に分割手続きに進むことができます。調停が不成立の場合でも、家庭裁判所の審判により分割内容を決めることが可能です。
4.不貞行為に対して慰謝料請求ができる
パートナーの不倫が原因で離婚する場合、慰謝料請求が可能になります。
4-1.不倫は不法行為と判断される
不倫は、不法行為と判断されます。法的に婚姻関係を結んだパートナーがいる場合、パートナーに対して貞操を守る義務があるからです。婚姻関係を解消しない状態で、パートナー以外の異性と肉体関係を持った場合、不貞行為となります。不貞行為は不法行為であり、不倫された側から慰謝料請求するのに正当な理由になるのです。
4-2.パートナーと不倫相手の両方に請求が可能
不倫が原因で離婚した場合は、パートナーと不倫相手の両方に慰謝料を請求することができます。不倫相手も、パートナーを既婚者だと知りつつ深い関係に至ったことで、不法行為の責任を問うことができるからです。ただし、パートナーが既婚であることを隠していた、不倫相手が未成年だったなどの場合は、不倫相手に落ち度を認められないため、慰謝料請求できないことがあります。
4-3.不倫の慰謝料を請求する方法
不倫の慰謝料を請求する方法には、以下の3つがあります。
- 当事者の話し合いで請求する
- 内容証明郵便を送付して請求する
- 慰謝料請求訴訟を起こす
なお、いずれの場合でも、信頼できる第三者にアドバイスしてもらうか、同席してもらうことがおすすめです。中でも、弁護士などの法律家に依頼すれば、適切なアドバイスを受けられるほか、有利な展開になるよう動いてもらえることでしょう。
4-4.不倫の慰謝料の費用相場
不倫の慰謝料の費用相場は、50万~300万円程度です。実際の金額は、以下のような要因で上下します。
- 不倫関係にあった期間の長さ
- 不貞行為に至った回数
- 子どもの有無と年齢(扶養義務が発生する年齢か)
- 請求相手の支払い能力
5.離婚時に財産分与をするときの注意点
離婚時に財産分与をするときの注意点を、詳しく解説します。
5-1.有利に進めるために不貞行為の証拠を用意する
離婚時に財産分与を進める場合、不倫が原因の離婚なら、不貞行為の証拠を用意しておきましょう。まずは、離婚の原因が明らかにパートナーの不倫であることを証明する必要があります。客観的な証拠がない状態では、強気に進めることができません。離婚時に不倫調査が済んでいる場合は、そのときの証拠を提出できるようにしましょう。もしも、すでに離婚している場合でも、パートナーと不倫相手の関係が切れていないのなら今からでも不倫調査を進めて、証拠をつかむことも可能です。
5-2.パートナーに全財産の開示を要求する
離婚時の財産分与では、パートナーに全財産の開示を要求することを忘れてはいけません。今は、結婚しても家計を夫婦で一緒にせず、それぞれが特定の費用ごとに分担しているケースが多くあります。そのため、お互いに預金や財産がいくらあるか把握していないこともあるでしょう。しかし、財産分与をする場合は、婚姻期間中の財産をすべて洗い出して分割することになります。共有財産はすべて開示してもらい、正当に請求しましょう。
5-3.取り決め内容は必ず離婚協議書に記録する
財産分与の取り決め内容は、必ず離婚協議書に記録しておきましょう。口約束だけでは、トラブルに発展する可能性があるからです。後日になって、言った・言わないで争いにならないよう、きちんと記録しておいてください。また、できれば同時に音声を録音しておくことをおすすめします。ちょっとした言葉でも、ニュアンスの違いで双方の誤解を生むことがあるからです。さらに、可能ならば公正証書を作成しておくと確実でしょう。
5-4.なるべく弁護士などに相談して交渉する
離婚時の財産分与では、なるべく弁護士に相談して交渉しましょう。特に、妻が財産分与を求める場合は、弁護士が付いているだけでも違うからです。夫である男性が口がうまいタイプで自分勝手な性格などの場合は、こちらの要求を簡単には受け入れてくれないことがあります。しかし、弁護士が間に入ることで格段に交渉がスムーズに進むこともあるため、活用しない手はありません。弁護士に支払う費用はかかりますが、費用以上のメリットがあるはずです。
6.不倫で離婚した場合の財産分与に関するよくある質問
最後に、不倫で離婚した場合の財産分与に関する質問に回答します。それぞれ役立ててください。
Q.財産分与後は持ち家から出ていく必要がある?
A.共有財産であっても、持ち家など分割できないものもあります。持ち家にそのまま残りたい場合は、そのほかの財産との配分を変更するなど、パートナーと交渉することが大切です。
Q.財産分与の内容に不服がある場合はどうする?
A.パートナーと直接協議している場合は、納得できるまで話し合いを続けましょう。なお、家庭裁判所で財産分与の審判を受けた場合は、不服申し立てを行うことができます。
Q.不倫はパートナーの過失なので財産をすべてもらえるのでは?
A.確かに、パートナーが財産をすべて放棄すれば可能です。しかし、パートナーにも今後の生活がある以上、すべての財産を放棄させるのは難しいでしょう。
Q.財産分与の請求権に時効はある?
A.はい。離婚届が受理されて離婚が成立した後、2年が経過した時点で時効です。したがって、なるべく早く請求してください。
Q.子ども名義の学資保険も財産分与の対象になる?
A.財産分与の対象になります。学資保険は、親が子どもの進学準備のためにかける保険であり、両親の資産から支払われていると判断されるからです。
まとめ
今回は、不倫で離婚した場合の財産分与について詳しく解説しました。不倫で離婚した場合でも、財産分与を請求する権利は不倫した側・不倫された側の双方にあります。しかし、実際には、離婚の原因をもたらしたことで、不倫した側が不利になるのが一般的です。不倫された側から財産分与を請求するときは、きちんと要求内容をまとめてパートナーと協議し、離婚協議書に記録しておきましょう。財産分与の取り決めは、当事者同士の話し合いでも可能ですが、家庭裁判所に申し立てることもできます。より交渉をスムーズに進めるためには、弁護士に相談することがおすすめです。