大切な家族や恋人が家出してしまったら、とても動揺してしまいますよね。自分たちで探すだけでなく、「警察に捜索を依頼したほうがいいのだろうか」「どんな方法で捜索を依頼すればいいか分からない」など、何かと悩むことも多いでしょう。なるべく早く家出人の安否を確認するためにも、慎重かつ確実に対処したいところです。
そこで今回は、家出の捜索について詳しく解説します。
- 身内が家出した際にまずすべきことは?
- 捜索願と失踪届の違いは?
- 捜索願の出し方やポイントは?
- 失踪届の出し方やポイントは?
- 警察が家出人を捜索してくれるケースは?
- 警察が家出人を捜索してくれないケースは?
- 警察が捜索してくれない場合は探偵事務所に依頼しよう
- 家出の捜索に関するよくある質問
この記事を読むことで、家出の捜索願を出したり警察以外に調査を依頼したりする方法がよく分かります。まずは、記事を読んでみてください。
1.身内が家出した際にまずすべきことは?
最初に、身内が家出した場合にまずすべきことを見ていきましょう。
1-1.スマホに連絡してみる
家出した直後なら、スマホに連絡できる可能性が高いでしょう。電話をかけたりSNSでメッセージを入れたりしてみてください。家出したものの、戻りたい気持ちがあるのなら電話に出たりメッセージに返信したりしてくることがあります。着信拒否になっていたりなかなか既読が付かなかったりする場合は、家出の決意が固いことが考えられるため、早めに捜索を開始する必要があるでしょう。
1-2.手紙などを残していない確認する
家出人は、手紙やメモなどを残していくことがあります。家出人の部屋に行き、机の上や引き出しの中・カバンの中などをよく探してみてください。リビングや玄関に置き手紙をしていることもあるので、忘れずにチェックしましょう。手紙やメモが残っていたら、内容を確認してください。一時的な家出であれば、数日で戻るから安心してほしい、実家に戻りますなどのメッセージを残していることもあるでしょう。
1-3.家出人の友人や知人に聞いてみる
家出をした後は、宿泊先を探すはずです。たとえば、家出人の友人や知人などに連絡して、何か知っていることはないか聞いてみましょう。宿泊先の心当たりなど、有益な情報を教えてくれることがあります。ただし、すでに家出人から連絡が回っていて、口止めされていることも考えられるので注意しましょう。
1-4.家出人が行きそうな場所を探してみる
家出人が行きそうな場所を探してみましょう。仲のいい友人や知人の家を突然訪ねてみるのもいい方法です。連絡してから訪問すると、万が一家出人が一緒にいた場合、逃げられてしまいます。また、いつも利用しているカフェやショップなどもチェックしておきましょう。何度か通っているうちに、顔を合わせる可能性もあります。
1-5.SNSでの情報提供呼びかけは慎重に
SNSで家出人の情報提供を呼びかけるのは、慎重になりましょう。確かに、SNSで呼びかければ多くの人の目に触れるため、何らかの手がかかりをつかめる可能性があります。しかし、中には偽りの情報を伝えてきたり、中傷してきたりする人もいるでしょう。また、個人情報を悪用される恐れもあります。SNSでの情報提供呼びかけは、明らかに事件性あるときなど、緊急性が高いケースに限り検討するといいでしょう。
2.捜索願と失踪届の違いは?
捜索願と失踪届について、それぞれの内容と違いを詳しく見ていきましょう。
2-1.捜索願とは?
捜索願とは、家族などが突然家出したり行方不明になったりした場合に提出するものです。生存していることを前提としており、警察に捜索してもらうための届け出となります。捜索願は、比較的受理される可能性が高いものの、実際に警察が動いてくれるかどうかは事件性の有無に大きく影響されるのが特徴です。
2-2.失踪届とは?
失踪届とは、何らかの理由で長期間行方不明になっている人を法的に死亡したものとして扱ってもらうための届け出です。長期間行方不明のままでは、遺産相続や離婚手続きを進めることができません。そのため、失踪届を提出して死亡したものと認めてもらう必要があるのです。なお、失踪届を提出した後に生存が確認された場合は、失踪届が無効になります。
2-3.捜索願と失踪届の違いは?
捜索願と失踪届には、主に以下のような違いがあります。家出人の捜索は、最初に捜索願を出し、場合によっては後日失踪届を出すことになるでしょう。
提出できる人
- 捜索願:原則として行方不明者の身内や近しい関係にある人に限定される
- 失踪届:失踪者と利害関係にある人なら他人でも可能
提出先
- 捜索願:警察署
- 失踪届:市町村役場
目的
- 捜索願:行方不明者を警察に探してもらう
- 失踪届:行方不明者を死亡したものとして認めてもらう
提出後の警察の動き
- 捜索願:事件性が高い場合は動いてくれる
- 失踪届:動かない
3.捜索願の出し方やポイントは?
捜索願の出し方や主なポイントを詳しく見ていきましょう。
3-1.捜索願を出せる人の条件は?
家出人の捜索願を出すことができるのは、家出人と以下のような関係にある人に限られます。
- 家出人の家族や親族
- 家出人の後継人
- 家出人の監護者(施設の責任者など)
- 家出人の同居人
- 家出人と恋人関係にある人
- 家出人の雇用人
なお、家出人と離婚後、別居している元夫・元妻からの捜索願は、DVなどに発展する可能性があるため却下されることがあります。また、捜索願が受理されても、実際に捜索してもらえないことでしょう。
3-2.捜索願に書くべき内容は?
捜索願には、以下を参考に家出人の情報をできるだけ多く記載してください。いずれも家出人を捜索するときに重要な手がかりになります。
- 氏名・住所・生年月日・血液型・職業
- 身長・体重・ほくろや傷跡などの身体的な特徴
- 家出当時の服装や所持品の内容
- 家出した日時と場所
- 家出した原因と考えられる内容
- 家出人が出没しそうな場所や地域
- 薬物の使用歴や精神病の既往歴の有無
なお、捜索願の用紙は警察署でもらうことができます。
3-3.警察署に捜索願を提出する
捜索願の提出先となる警察署は、以下を参考に決めてください。
- 行方不明者が行方不明となったときの住所もしくは居所を管轄する警察署
- 行方不明者が行方不明となった場所を管轄する警察署
- 捜索願を提出する人の住所もしくは居所を管轄する警察署
捜索願を出すときは、家出人との関係を証明するため、印鑑や身分証明書を忘れずに持参しましょう。
4.失踪届の出し方やポイントは?
失踪届の出し方や主なポイントを詳しく解説します。
4-1.最初に家庭裁判所で失踪宣告を受ける
失踪届を出すために、家庭裁判所で失踪宣告を受けましょう。失踪宣告とは、何らかの理由で長期間行方不明になっている人を法律上の死亡者とみなす制度のことです。ただし、失踪宣告を受けるためには、以下のような条件を満たす必要があります。
- 家出や蒸発など意図的な失踪の場合は7年間生死不明であること
- 戦争・災害・事故など危難に遭遇して失踪した場合は、1年間生死不明であること
4-2.失踪届に書くべき内容は?
失踪届には、以下のような内容を記載してください。所定の用紙は、市町村役場でもらえます。
- 失踪届を提出した日付
- 失踪者の氏名・生年月日
- 失踪者の最後の住所と世帯主
- 失踪者の本籍地
- 確定証明書に記載されている審判確定日
- 失踪者と届出人との関係性
- 届出人の住民票に記載されている住所
- 届出人の本籍地
- 届出人本人の署名および押印
- 届出人の連絡先
4-3.失踪届の出し方や必要なものは?
失踪届は、失踪者の本籍地または住所地を管轄する市区町村役場に提出してください。なお、失踪届を提出する際には、以下のようなものを用意する必要があります。確実に受理してもらうためにも、忘れずに持参してください。
- 家庭裁判所の審判書謄本
- 確定証明書
- 印鑑
なお、失踪届は家庭裁判所で失踪宣告を受けた後、10日以内に提出する必要があります。
5.警察が家出人を捜索してくれるケースは?
警察が家出人を捜索してくれるケースを詳しく見ていきましょう。
5-1.事件性がある
家出人が何らかの事件に巻き込まれた可能性がある場合は、警察が捜索してくれます。たとえば、家出する直前に不審な人物から呼び出された形跡がある、普段から特定の人物によるストーカー行為があり連れ去りの可能性があるなどの場合です。事件性が高いと判断されれば、警察もすぐに動いてくれるでしょう。
5-2.特定行方不明者に該当する
特定行方不明者に該当する場合も、警察に捜索してもらえます。特定行方不明者とは、以下に当てはまる人のことです。
- 殺人や誘拐などの犯罪により生命や身体に危険が生じている可能性がある
- 未成年で犯罪の被害に遭う可能性がある
- 水難事故や交通事故などに巻き込まれた可能性がある
- 遺書があったり普段の言動や行動に不審な点があったりして自殺の可能性がある
- 精神障害や危険物の所持があり自傷もしくは他人に害をおよぼす可能性がある
- 病人・高齢者・年少者などで、自助能力に乏しく生命もしくは身体に危険が生じる可能性がある
6.警察が家出人を捜索してくれないケースは?
警察が家出人を捜索してくれない主なケースを見ていきましょう。
6-1.すぐに所在が分かることが多い
家出人はすぐに所在が分かる可能性が高いという点も、警察が捜査してくれない理由の一つです。一般的に、家出人はすぐに見つかることが多く、警察が介入するほどでもないと判断されます。実際に、家出人の多くが1週間以内に何らかの方法で発見されるか、自主的に帰宅するというデータもあるため、警察が積極的に動いてくれないのです。
6-2.自主的に家出したなどで事件性がない
家出人が成人しており自主的に家出したことが明確な場合は、一般家出人として取り扱われます。一般家出人は事件性がないと判断されるため、警察で操作してもらえません。警察は民事不介入が原則となるため、事件性がないと判断されれば捜索願が却下されても当然でしょう。
6-3.不受理届が出されている
警察に家族から捜索願が出されていても、家出人から不受理届が出されている場合は、動いてもらえません。不受理届とは、家出人本人が事件性がないことを申告して捜索願の却下を出すことです。たとえば、DVなどで家族から逃れている場合などに出されることがあります。いずれにしても、家出人本人が自分の意思で捜索願を拒否しているので、警察は動けないのです。
7.警察が捜索してくれない場合は探偵事務所に依頼しよう
警察で捜索してくれない場合、探偵事務所に依頼して家出人調査をしてもらうことをおすすめします。
7-1.探偵事務所に家出人調査を依頼する
警察が家出人を捜索してくれない場合、探偵事務所に家出人調査を依頼するといいでしょう。探偵事務所では、本人の身体的特徴や友好関係など、依頼者から提供されたあらゆる情報を参考に、今までのノウハウを生かした調査を行います。自分たちで探すよりも効率よく調査でき、本人発見の可能性を高めてくれることでしょう。なお、早期発見のためにも、なるべく早く依頼することが大切です。
7-2.信頼できる業者の選び方
家出人調査は、以下の条件を満たす業者を選んで依頼しましょう。
- 家出人調査で豊富な実績がある
- 確実に成果を出すことで定評がある
- 簡単な相談や見積もりは無料
- リーズナブルで分かりやすい料金システム
- 調査日程は希望に応じて調整してくれる
- きちんとした報告書に調査結果をまとめてくれる
- スタッフが親身になって相談に乗ってくれる
- 守秘義務・個人情報保護を厳守している
- 顧客からの評判がいい
- 活動地域の公安委員会に探偵業の届け出済み
7-3.家出人調査は成功報酬を含め35万円程度~が料金目安
家出人調査を探偵事務所に依頼した場合の料金目安は、氏名・生年月日以外に情報が多くあり発見に至った場合で、成功報酬や諸経費を含めて35万円程度~です。なお、提供できる情報が減るほど調査の難易度が上がるため、料金も高くなります。また、家出人調査は遠方で行うケースも多くなるため、調査員の出張料金も上乗せになることが多いでしょう。実際の金額については、探偵事務所とよく相談後、見積もりをもらって確認してください。
7-4.悪質業者の手口に注意しよう
悪質な探偵業者には、十分に注意しましょう。たとえば、高額な契約をしておきながら、ほとんど調査せずに適当な報告をしてくるところもあります。何かと理由を付けてさらに調査が必要だと言い、追加料金を請求してくるケースもあるでしょう。また、守秘義務や個人情報保護を守らず、第三者に対して勝手に情報提供してしまうこともあるので注意してください。家出人の早期発見のためにも、また、思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、家出人調査は信頼できる探偵事務所に依頼しましょう。
8.家出の捜索に関するよくある質問
最後に、家出の捜索に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。
Q.捜索願や失踪届の提出にはお金がかかる?
A.捜索願も失踪届も、無料で提出することができます。ただし、失踪届の場合は、事前に家庭裁判所で失踪宣告を受けるために、6,000円程度の諸経費が必要です。
Q.警察が家出人を捜索する方法は?
A.以下のような方法で捜索することになります。
- 警察のデータベースに登録して家出人の情報を共有する
- 家出人が出没しそうな場所をパトロールする
- 家出人に似ている人に職務質問する
さらに、事件性が極めて高いと判断される場合は、以下のような方法を採られることがあります。
- 事情聴取:行方不明者と関係が深い人へ事情聴取を行い、事件との因果関係を割り出す
- 公開捜査:行方不明者の写真を掲載したチラシなどの配布や報道による呼びかけを行う
- 鑑識捜査:行方不明者の血痕や遺留品と考えられるものを鑑識して特定する
- 警察犬捜査:行方不明者の失踪理由を知っている可能性が高い人物を警察犬によって追跡する
Q.家出してから1年以上音信不通な場合は捜索しても無駄?
A.無駄ではありません。大切な人が家出したままで過ごすのは、つらくて納得が行かないこともあるでしょう。難易度は高くなりますが、あきらめてはいけません。
Q.探偵事務所での調査開始前に家出人が見つかった場合はどうする?
A.すぐに探偵事務所に連絡し、調査の中止を依頼しましょう。タイミングによっては、キャンセルできることがあります。ただし、キャンセル料がかかることがあるので確認してください。
Q.探偵事務所に追加調査を依頼するか悩むのですが?
A.まずは、現時点での調査状況を探偵事務所に説明してもらいましょう。追加調査により早期発見に至る可能性が高い場合は、探偵事務所とよく相談して調査を続けることを検討してください。
まとめ
今回は、家出の捜索について詳しく解説しました。家族や親しい人が家出してしまった場合は、スマホに連絡してみる、友人や知人に聞いてみるなどして、自分たちで捜索してみましょう。自分たちで探しても見つからない場合は、警察に捜索願を出すこともできます。事件性が高い場合などは、警察が捜索してくれることでしょう。ただし、自主的に家出したケースなど、警察で捜査してもらえない場合は、探偵事務所に家出人調査を依頼することをおすすめします。信頼できる探偵事務所を選び、なるべく多くの情報を提供して早期発見を目指して調査してもらいましょう。